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個人向けセキュリティソフトの世界シェアと国内シェアについて

個人向けセキュリティソフトの世界シェアと国内シェアについて

個人向けセキュリティソフトの購入を検討する際、製品のマーケットシェアが気になる人も多いと思います。

セキュリティソフトに限らず、どのような商品でも、マーケットシェアを主張する場合は必ずその根拠となるデータの提示が必要となります。この記事では、セキュリティソフトのシェアと、その根拠となるデータについて詳しく説明します。

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目次

個人向けセキュリティソフトの世界シェア

2018年から2020年頃にかけて、ノートンは「世界シェアNo.1」を大々的に打ち出したマーケティングを行っていました。これは2018年の「Gartner Market Share: All Software Markets, Worldwide」というレポートでノートンが世界シェアNo.1にランキングされたことを根拠にしていました。

ノートンは世界売上シェアNo.1

※当時はいたるところでこのようなチャートを見ました。(画像はヤマダウェブコムより)

ただ、実は、その後同社自身は「世界シェアNo.1」を謳っていません。

にもかかわらず、ノートンが世界シェアNo.1だと広く認識されているのは、ノートンがこの時に行ったマーケティングがとてもうまくいったことを意味しています。

現在、コンシューマ向けセキュリティソフトの世界シェアについて、一般の人が無料で参照できるレポートはありません。ただ、各種ニュース記事等を見ると、2023年5月に発表されたIDC社の「Worldwide Consumer Digital Life Protection Market Shares」レポートにおいて、2022年の世界シェアは以下のように報告されているようです。

コンシューマ向けセキュリティソフトの世界シェア(2022年)
1位 43.7% Gen Digigal
2位 26.4% McAfee

Gen Digital社は、Norton、Avast、Aviraという世界的に有名なコンシューマ向けセキュリティソフトを開発している企業です。2位に圧倒的な差をつけてトップの座に輝いていますが、NortonとAvastという2つの人気ブランドを抱えていますので、当然といえば当然かもしれませんね。

ブランド別のシェアは?

上記のように、IDCのレポートでは、GenDigital社が1位となっていますが、同社製品のブランド別の内訳まではわかりません。ただ、売上高は明らかにNortonがトップだと思います。

通常、世界シェアNo.1になった製品は、そのタイトルを武器にマーケティング活動を行うものですが、ノートンが2020年頃を境に「世界シェアNo.1」を謳うことをやめたことを考えると、その後他社に抜かれたか、もしくは販売チャネルが非常に多様化したためにシェアを調査することが難しくなった可能性もあると思います。

後ほど国内シェアのセクションで説明しますが、日本だけをとってみても、100%正確な国内シェアのデータは存在しません。世界中のすべて国で個人向けセキュリティソフトのマーケットシェアを調査するということは、かなり困難な気がします。

いずれにしろ、Norton、Avast、McAfeeが現時点での世界のトップブランドなのは間違いないでしょう。

OPSWAT社の「Windows Anti-malware Market Share Report」

ところで、昔から、セキュリティソフトの世界シェアについて言及する際はOPSWAT社の統計データがよく引用されます。

OPSWAT社は、2022年にアメリカで設立された、企業向けの重要インフラ保護 (CIP) セキュリティソリューションを販売している企業です。BYOD等により企業のネットワークやクラウドに接続するデバイスからセキュリティ上のリスクを取り除く製品を提供しています。

同社は、2010年代半ばから、アンチウイルス製品のマーケットシェアレポートを提供しています。長年にわたってこの種のレポートをリリースし続けている企業は他に無いことから、しばしばセキュリティソフト会社のブログやITニュースメディアで引用されることもあります。

ただ、同社が使用しているスコアリング(「OPSWAT Score」)が具体的にどのようなものなのかよく分からないのに加えて、以下の理由から、このデータを根拠にセキュリティソフトの世界シェアを語るのは無理があるのではと思います。

理由1:セキュリティソフト会社の分割・買収が反映されていない

Nortonブランドのセキュリティソフトは以前はSymantec社が開発・販売していました。その後Symantec社はSymantecブランドの企業向け製品をBroadcom社に売却し、自身はNortonLifelockと社名を変更してコンシューマ向けセキュリティソフト専業メーカーとなったという経緯があります。つまり、SymantecとNortonは全く別会社の製品なのですが、OPSWATの統計データの「Symantec」カテゴリには相変わらずNorton製品が含まれています。

OPSWATのSymantecカテゴリの製品別内訳

同じ問題は「McAfee」カテゴリにも存在し、現在のMcAfee社はコンシューマ向けセキュリティソフト専業で、旧McAfeeで販売していた企業向け製品は今はTrellix社の製品なのですが、OPSWATのデータの「McAfee」カテゴリには依然としてMcAfee社とTrellix社の両方の製品が含まれています。これでは、各企業の正確なシェアがわかりません。

ちなみに、OPSWATのデータでは長らくSymantecのシェアが一位だったため、それを根拠に「ノートンのシェアがNo.1」だと主張するケースが見られますが、上記の理由からそれは正しくありません。(「Symantec」カテゴリの製品別内訳を見ると、77%はBroadcom社が販売している企業向け製品で、Norton製品は22%にすぎません。)

理由2:コンシューマ向け製品と企業向け製品が混在している

コンシューマ向けセキュリティソフトのマーケットと、企業向けセキュリティソフトのマーケットは全く異なるものです。セキュリティソフトのマーケットシェアを語る場合は、コンシューマ向け製品と企業向け製品とで分ける必要がありますが、OPSWATのデータではこれらが混在してしまっています。

理由3:データに大きな偏りがある

OPSWAT社のデータは同社の「MetaDefender IT-OT Access」というソフトウェアがインストールされた約30,000台のデバイスから収集されたものです。つまり、BYOD等で勤務先企業のネットワークに接続するPCから抽出したデータであり、家庭でのみ使用しているPCは対象ではありません。これでは、コンシューマ向けセキュリソフトのインストールベースを計測することはできません。また、「MetaDefender IT-OT Access」は英語版のみ提供されているため、地域性や言語に偏りがあります。したがって、グローバルな統計データとは言えません。

個人向けセキュリティソフトの国内シェア

個人向けセキュリティソフトの国内シェアNo.1はトレンドマイクロ(ウイルスバスター)です。

これはBCN社の調査データ「BCNランキング」を元にしています。BCNランキングは、全国の量販店のPOSデータ(Amazonを含む)を1年間にわたって収集・集計したもので、パソコン関連製品やデジタル家電関連製品を対象とした信頼できるマーケットシェアデータとして非常に有名です。

セキュリティソフトカテゴリでは、2008年まで毎年シマンテックが1位でしたが、それ以降はトレンドマイクロが毎年1位をキープしています。(2022年だけはノートンが1位)

BCN AWARD セキュリティソフト ランキング

BCN AWARD 「セキュリティソフト」カテゴリより

ちなみに、BCNのデータには、携帯ショップや楽天・Yahoo、自社サイトの公式オンラインストア、それにヨドバシカメラとヤマダ電機という超有名家電量販店の売上は含まれまていませんので、100%正確な国内シェアのデータではありません。

しかし、オンラインの購入が主流の欧米市場と違い、日本市場はまだまだ家電量販店で購入する人がかなり多いですし、ヨドバシカメラ/ヤマダ電機は入っていなくてもビックカメラその他の有名家電量販店のデータが多く含まれていますので、実際のシェアにかなり近いものだとは思います。

※参考:BCNのPOSデータ提供店

アマゾン ジャパン(Amazon.co.jp)、エクスプライス(XPRICE)、エディオン(エディオン)、NTTドコモ、玉光堂(onHOME)、ケーズホールディングス(ケーズデンキ)、コジマ(コジマ)、サードウェーブ(ドスパラ)、サンキュー(100満ボルト)、上新電機(上新電機)、ストリーム(ECカレント)、ソフマップ(ソフマップ)、ZOA(ZOA)、ナニワ商会(カメラのナニワ)、ビックカメラ(ビックカメラ)、ピーシーデポコーポレーション(PC DEPOT)、三星カメラ(三星カメラ)、ムラウチドットコム(ムラウチドットコム)、ユニットコム(パソコン工房、グッドウィル、BUY MORE、パソコンSHOPアーク)、楽天(楽天ブックス)、綿半ドットコム(PCボンバー) =(50音順)の21社

ソースネクストが謳う「ソフト単体での販売本数No.1」とは

ところで、ソースネクスト社のZEROシリーズ(ウイルスセキュリティZEROとスーパーセキュリティZERO)は、「ソフト単体での販売本数、12年連続No.1」を謳っています。これは「PC用パッケージ版セキュリティソフト単体での販売本数で、第三者機関による全国の有力家電量販店の販売実績をもとに自社集計したもの」だそうです。

ZEROシリーズはソフト単体での販売本数、12年連続No.1

家電量販店では、パソコンと同時購入する場合のみ購入可能な特別なパッケージを提供していますが、実はこの同時購入版の売上は結構大きなな割合を占めています。ZEROシリーズは、これらの同時購入版を除いた、ソフト単体での販売本数が国内No.1ということなのでしょう。

まとめ

2023年の時点では、個人向けセキュリティソフトのシェアは以下のようになっています。

世界シェア

1位 43.7% Gen Digigal(Norton、Avast、Avira)
2位 26.4% McAfee

国内シェア

1位 トレンドマイクロ(ウイルスバスター)
2位 ノートン
3位 キャノンマーケティングジャパン(ESET)

以下に、各社の製品を簡単にご紹介しますので、参考にしてください。

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ノートンの性能は、マルウェア防御率、動作パフォーマンスともに主要セキュリティソフトの中でトップクラスです。また、データ通信容量無制限のVPN「ノートンセキュアVPN」が標準搭載されており、コストパフォーマンスも高い製品です。機能も豊富ですので、あらゆるユーザー層にマッチするセキュリティソフトです。

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